私たちが普段見る地図は、北が上である。
しかも日本は、地図の真ん中に位置している。
私たちが世界を考えるとき、常にこの地図が頭を支配している。
したがって、世界の中心に日本があると思い込んでいる。
オーストラリアに行ったとき、南北さかさまの地図を買った。
それを見ていると、世界の見え方が変わってくる。
これまでの北を上にして右側が東、左側が西、下側が南という固定観念にとらわれた地図の見方が逆転されてくる。
日本列島は地図の下の方にあって、日本海を取り囲み、中国大陸から太平洋への進出を妨げる位置にあることがよく分かる。
ヨーロッパで発行された地図を見ると、日本は地図の右端になっている。
まさに極東(Far East=遠い東または東のはずれ)である。
アメリカ大陸は、我々の地図では右と左に離れているが、ヨーロッパの地図では、大西洋を挟んで隣の国だ。
北極中心の地図を見ると、アメリカとヨーロッパはより近い存在だと見て取れる。
地政学という分野がある。
国の地理的な条件をもとに、他国との関係性や国際社会での行動を考える方法である。
そのためには、固定観念に束縛されない地図の見方が重要である。
日本列島が真ん中にある地図の発想から抜け出し、地球儀の視点 を持たないと、国際化社会から取り残されるのは当たり前だろう。