川柳徒然草

川柳徒然草

酔うほどに野性がにやり顔を出す

酔うと、隠れていた人間性が顔を出す。 泣き上戸とか笑い上戸程度であれば、周囲にあまり迷惑はかけない。 やたら説教をする人がいる。 本人は親切で言っているのだろうが、自分でも気が付いていることを繰り返し指摘されると、いい気...
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良心が少し有るので野に下る

野に下がる、は‘やに下る’と読む。 下野(げや)する、と同じ意味だ。 野を‘や’と読むのは、野という文字がもともとは朝廷に対する民間の事を指していたからである。 したがって、野に下るということは、官職に就いていたものが退...
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胸のうち見透かすような仁王の目

仁王像と言えば、東大寺南大門の金剛力士像を思い出す。 運慶と快慶が造った2体の仁王像は、門の真ん中に立つと、どちらの仁王像からも睨まれているように配置されている。 ’仁王’は二体で一対ということから、二王(仁王)と呼ば...
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都合が悪いことは上手に物忘れ

物忘れでも、認知症によるものと老化によるものでは根本的に違っている。 老化による物忘れは、体験の一部を忘れるが、認知症の場合は体験そのものを忘れる。 老化の場合、忘れたことを自覚しており、ヒントを与えると思い出せるが、認知症の...
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削れるものはみんな削って骨の髄

自分を犠牲にするほど熱心に仕事に打ち込むさま、または、体がやせるほど苦心・苦労することを‘骨身を削る’という。 「古人刻苦光明必ず盛大なり」という言葉がある。 中国・宗時代の禅僧・慈明禅師が『禅関策進』に残している言葉だ。 ...
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花ひとひら添えてサラダに笑みこぼれ

朝のサラダに、花弁がひとひら添えられているとほっこりとする。 サラダに混ぜられているのだから、食べても安全だろうとそっと口にしてみる。 一片の花だから、ほとんど味は感じない。 最近はエディブルフラワーということで...
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閉店セール良心置いて踊り込む

流通業にとって、厳しい状況が続き、小売店や飲食店の店じまい情報が溢れている。 小売店が閉店する場合、お決まりの閉店セールがある。 一般的に、小売店で一番売れるのは‘開店セール’、二番目に売れるのは‘閉店セール’といわれ...
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バランスを少し崩すと動き出す

バランスが取れると言うと、何か都合が良いことのように聞こえる。バランスが取れなくなったときは、平衡に近づけるように動くことが必要だが、一般的な世界では、完全にバランスが取れている状態は、動きが無い状態である。振り子にしろ、弥次郎兵衛にしろ...
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ひび割れ風鈴が不協和音出す

風鈴の音は、日本では涼しげな音と表現されてきた音である。 秋を知らせるスズムシなどの虫の声と同じだ。 冷房のなかった時代に日本のむしむしとした湿気の多い暑い夏をやり過ごすため、日本人は風鈴の音を聞くことで涼しさを感じてきた。 ...
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改札機良心咎める音を立て

改札口を通るとき、突然‘ピーッ’という音がして、通路の通せん棒が下りてくる。 駅員が走ってやってくる。ラッシュ時だと、瞬く間に後ろに行列ができ、‘ドジ’という軽蔑の気持ちを込めた、沢山の視線を浴びることになる。 なんとなく罪悪...
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