都合が悪いことは上手に物忘れ

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物忘れでも、認知症によるものと老化によるものでは根本的に違っている。

老化による物忘れは、体験の一部を忘れるが、認知症の場合は体験そのものを忘れる。

老化の場合、忘れたことを自覚しており、ヒントを与えると思い出せるが、認知症の場合は忘れたことが分からないので、ヒントを与えても思い出せない

昨日、夕食に何を食べたか思い出せないのは、単なる老化による物忘れだが、昨日、夕食を食べたかどうかわからないのは認知症である。

記憶はその重要さに応じて、海馬によって短期記憶または長期記憶として振り分けられ脳に保存される。

短期記憶は、一時的に必要な少量の情報を保持するものであり、電話番号とか、買い物のリストなどが相当する。

長期記憶は、小学校の名前とか、その頃の友人の名前など長期間保存する。

一日の終わりには、その日の小さな出来事を思い出せるが、日にちが経つと‘小さな’出来事は忘れている。

これは、経験してすぐの状態では海馬が、その記憶の重要性を判断できないからである。

人間にとって覚えることは大事だが、忘れることもそれと同じくらい重要である。

忘れることは、脳のフィルターとしての役割を果たしている。

近年の研究では、脳が積極的に記憶を消去しているという、能動的な‘記憶忘却システムの存在’が明らかになっている。

記憶は、色が褪せていくのと同じように、時をかけて衰退していくものだ。

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