川柳徒然草

川柳徒然草

バランスを少し崩すと動き出す

バランスが取れると言うと、何か都合が良いことのように聞こえる。バランスが取れなくなったときは、平衡に近づけるように動くことが必要だが、一般的な世界では、完全にバランスが取れている状態は、動きが無い状態である。振り子にしろ、弥次郎兵衛にしろ...
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ひび割れ風鈴が不協和音出す

風鈴の音は、日本では涼しげな音と表現されてきた音である。 秋を知らせるスズムシなどの虫の声と同じだ。 冷房のなかった時代に日本のむしむしとした湿気の多い暑い夏をやり過ごすため、日本人は風鈴の音を聞くことで涼しさを感じてきた。 ...
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改札機良心咎める音を立て

改札口を通るとき、突然‘ピーッ’という音がして、通路の通せん棒が下りてくる。 駅員が走ってやってくる。ラッシュ時だと、瞬く間に後ろに行列ができ、‘ドジ’という軽蔑の気持ちを込めた、沢山の視線を浴びることになる。 なんとなく罪悪...
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さっきまで生きてましたと鯛刺身

行きつけの飲み屋に行くと大将が、さっきまで生きてたんですよと、にこにこして鯛の刺身を出してくれる。 美味い酒が進む。 魚をおろして骨皮を取り除き、そのまま食べられる状態に整えて盛りつけたものは‘切り身’である。 ...
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入道雲がイライライラと湧き上る

太陽がじりじりと照り付ける真夏の午後、突然黙々と湧きあがる入道雲。 夕立が近いぞと構えているうちに、バラバラバラと雨が降り出す。 激しい雷を伴っていることもある。しかし、30分から一時間もすると、パタッと雨がやみ、涼やかさが満...
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空の箱タネも仕掛けも詰めてある

マジックが大好きで、実際に見に行ったし、テレビ番組もほとんど見ている。手際よくカードやコインをさばくマジシャンの手先の動きも見事だが、大掛かりなイリュージョンにも惹かれる。最近は、ますます大掛かりになってビルやジェット機を消してしまうこと...
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ひらひらと愛語るのか手話の指

手話で、楽しげに話している若者の姿を見かける。その指が、まるで生き物のようにひらひらと舞って、楽しげな話の内容がこちらにも伝わってくるようだ。 手話は、主として聴覚障碍者の間で使われている。「あいうえお…」の五十音、またはアルファベ...
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どうせすぐ生えると尻尾切るトカゲ

とかげの尻尾切りということわざで知られているように、トカゲは危険が迫ると尻尾を切って逃げる。 トカゲの場合、しっぽが再生するのは一度きり。 ところが、しっぽがちぎれても何度でも生えてくるのがイモリだ。 イモリの再生能力は...
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グリーンカーテンむしりゴーヤのフルコース

猛暑が続くと、グリーンカーテンの有難味が身に染みる。 グリーンカーテンの効果としては、窓からの日射しの侵入を防ぐということが挙げられる。 十分に葉が茂ったグリーンカーテンは、日射しの熱エネルギーの約80%をカットする遮蔽効果が...
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昔はむかし今ではタダのあんたでしょ

「昔はよかった」という人は、いつの時代もいるらしい。なつかしいという感情や過去を思い返す能力は、人間特有のものだと言われている。人間の脳は、嫌な記憶には意識的な抑制がかるようになっているようだ。 しかも、自分にとって都合のよかった記...
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