川柳徒然草

川柳徒然草

ぽっくりを願いながらの不養生

ぽっくり願望が強くなったのは、昭和47年、有吉佐和子が「恍惚の人」で認知症の高齢者を描いて以来である。当時日本の平均寿命は男性が69歳、女性が74歳。高齢者化率はわずか約7%だった。それから約50年たって、2019年の日本人の平均寿命は、...
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そば茶屋は見ごろの花も値に含め

花の名所は、時期になればどこも車でごった返す。特に、峠から見下ろす桜の花の群れなどは、これぞ日本の原風景と感じさせられる。周辺の若葉色の中に、ピンクの塊が浮かんでいるさまは圧巻だ。 名所として有名な場所には、大体軽食の店がある。そば...
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エッシャーに空間感覚狂わされ

エッシャーは、だまし絵で有名である。 上から下へ落ちていたはずの滝が,いつの間にか下から上に流れているという『滝』や、いつまでたっても元の場所に出てくる回廊などを見ていると、時間と空間が混乱してしまう。 エッシャーの絵は、無限...
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ビフォーアフター別人になるかがみ前

かがみは不思議な力を持っている。 古代の遺跡から出てくるかがみは、いずれも祭祀に利用されて、神と人との交信の役割を持っていたらしい。 多くの神社のご神体も、鏡である。 古代から人は、鏡に神秘的な力を感じているのだろう。 ...
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立ち位置は変えぬが周りは大変わり

’立ち位置’という言葉がある。 元々は舞台用語であり、舞台上で役者が立つ位置のことで、大道具や相手役との関係で決まる。 全体の中の位置づけやポジション、全体の中で演じている役割や、期待されている機能や効果などを、幅広く指す言い...
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豊かさを見つけ苦労がまた増える

豊かさには物理的なレベルの豊かさと、精神的なレベルでの豊かさがある。 これからは、物の豊かさより心の豊かさを求めるべきである、とよく語られる。 しかし、松下幸之助は「神ならばいざしらず、人間であるかぎり、心の豊かさとともに物の...
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真っすぐに生きるといつも気がもめる

『老子』に「曲則全」(曲がれば即ちまったし)と言う言葉がある。 曲がった木は実用にならない。 そのため、伐採を免れ樹木としての生を全うすることができる、という意味である。 『老子』の哲学を、もつとも端的に語っている言葉の...
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足るを知ると言いたいけれどまだ足りぬ

老子に「足るを知る者は富み、強(つと)めて行なう者は志有り」という言葉がある。 満足する事を知っている人間が本当に豊かな人間であり、不断の努力ができる人は志を持っている人である、という意味である。 自分が何を持っている...
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脚下照顧足元ばかりで前を見ず

’脚下照顧’という言葉がある。自分の足元をよく見よ、という意味である。 よく、お寺等の玄関に掲げられており、一般には‘履物を揃えよ’と解釈されていることも多い。 もとは禅の語で、他に向かって悟りを追求せず、まず自分の本...
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モザイクかかる記憶の中に母は住む

母は、九十歳近くなったころ、自室でつまずいて足を痛め、しばらく歩行困難な時期があった。 その間、ほぼテレビが相手の生活だった。 一日中、誰もいないところでテレビだけを見ていたら、今置かれている空間と時間の認識が、あいまいになっ...
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