川柳徒然草

川柳徒然草

足るを知ると言いたいけれどまだ足りぬ

老子に「足るを知る者は富み、強(つと)めて行なう者は志有り」という言葉がある。 満足する事を知っている人間が本当に豊かな人間であり、不断の努力ができる人は志を持っている人である、という意味である。 自分が何を持っている...
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脚下照顧足元ばかりで前を見ず

’脚下照顧’という言葉がある。自分の足元をよく見よ、という意味である。 よく、お寺等の玄関に掲げられており、一般には‘履物を揃えよ’と解釈されていることも多い。 もとは禅の語で、他に向かって悟りを追求せず、まず自分の本...
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モザイクかかる記憶の中に母は住む

母は、九十歳近くなったころ、自室でつまずいて足を痛め、しばらく歩行困難な時期があった。 その間、ほぼテレビが相手の生活だった。 一日中、誰もいないところでテレビだけを見ていたら、今置かれている空間と時間の認識が、あいまいになっ...
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雑草に墓覆われる親不孝

彼岸前には、墓掃除に行く。 ところどころに、草ぼうぼうの墓を見かける。 墓を守る人が、来られなくなったのか、いなくなったのだろう。 わが国は、2004年(平成16年)の1億2700万人をピークとして、人口減少時代...
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通夜帰りちょっと飲み屋で偲ぶ会

昔は、週に一二回は会っていた飲み仲間とも、月に一二度になり、年に一二度になり、最近はメールと年賀状の交換だけになってしまっていた。 突然の訃報が届き、通夜の席に駆け付けた。 現役を引退して永年経つと、葬儀も家族親族だけ...
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ドッコイショつい声が出て周り見る

ヨイショとか、ドッコイショなどとつい口に出る。慌てて周囲を見渡す。いかにも高齢者ですと宣言しているようで、少し気恥しい。 ’どっこいしょ’という言葉には、なんとなく普通の日本語とは違う響きがある。語源を調べてみた。大きくは二つあった...
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一隅を照らす積もりが照らされる

’一隅を照らす’という言葉がある。 天台宗の祖・最澄の言葉である。 「照于一隅此則国宝」と書かれており、「一隅を照らすこれすなわち国宝なり」と読む。 二番目の字‘于’は音読み「ウ」、訓読み「に、において、いく、他」である...
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被災地に春よ早くと花便り

3月11日は、東北大震災が起きた日である。 あの日、福岡ではもうすっかり春の気配がして、花もそろそろ咲きそろってくる時期だった。 温かい日差しに誘われ、散歩がてら植物園まで足を延ばした。 昼前には植物園についていたので、...
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フェアウェイ避けて一日ラフ歩く

ゴルフコースの使用料金は、グリーンフィーという。 一般的なゴルフコースの場合、18ホールを基準に設計されている。 そこを、いかに少ない打数で上がるか競っている。 グリーフィーに、打数の多寡は反映されない。 したがっ...
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やっと出たおならを祝う手術明け

おならをして「おめでとう」と言われるのは、いささか面はゆい。 しかし、腹部手術後の回復過程では重要な出来事のようだ。 手術を受けた後、しきりにガスは出ましたか、と聞かれる。 お腹が張っていても、切り口が気になり息むわけに...
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