川柳徒然草

遠雷が行くぞ行くぞと威嚇する

‘遠雷’は、夏の季語である。 夕立の前、急に風が涼しくなって、遠くでゴロゴロと音がする、というイメージである。 積乱雲は発達すると、中で氷の粒がぶつかり合い、静電気を起こす。 静電気は、積乱雲の中でプラスとマイナ...
川柳徒然草

結果には拘りませんキリギリス

キリギリスは、夏の日中、草むらでチョンギース、チョンギース、と鳴いて居るのですぐわかる。 イソップの代表的な寓話に『アリとキリギリス』がある。原作では『アリとセミ』だったが、セミがいない国向けに翻訳され、それが日本に伝わってキリギリ...
川柳徒然草

花一輪挿して茶室に風の音

文豪・谷崎潤一郎の随筆『陰翳礼讃』(いんえいらいさん)は、日本人の芸術的な感性について論じており、多くの世界の芸術家や思想家に影響を与えた。 西洋の文化では可能な限り部屋の隅々まで明るくし、陰翳を消す事に執着する。しかし、伝統的な日...
川柳徒然草

アヒルの群れに白鳥混じりいびられる

アンデルセンは、『みにくいアヒルの子』の中で、「自分が白鳥の卵からかえったのであるならば、農家の庭の隅っこのアヒルの巣で生まれようが生まれまいが、ものの数ではなかった」と書いている。 つまり、‘育ち’より‘氏’の方が大事ということだ...
川柳徒然草

あっけらかんと地獄を巡るバスツアー

「地獄めぐり」は、別府市が有名だ。 約1200~1300年前の奈良時代初期『豊後風土記』に、噴気・熱泥・熱湯などが噴出して、近寄ることもできない忌み嫌われた土地と記されている。 色の違う温泉が湧き出る様子が書かれており、当時は...
川柳徒然草

華やかな舞台の隅の馬の脚

「馬の足」は、歌舞伎から出た言葉で、馬の脚を演じる役者の事である。 主に、下級の役者がつとめるところから、下級俳優やへたな役者のことをいう。 馬の足役は、張り子の馬を二人でかぶって、前足と後足になる。 前足の役者...
川柳徒然草

花らしい名前が欲しいイヌフグリ

牧野富太郎博士は、たくさん花に名前を付けている。中には、’イヌフグリ’という植物もある。 ‘イヌフグリ’は、昔、ふつうにみられた野草である。現在は環境省レッドデータブックの「絶滅危惧種Ⅱ類」に指定されている。春先に5ミリ足らずの、薄...
川柳徒然草

攻めて攻めて攻め抜いた末うっちゃられ

相撲の「うっちゃり」は、土俵際の逆転技である。 土俵際まで寄られた、または土俵際で吊り出されそうになった力士が、体を捻って相手力士を土俵の外へ投げるものである。 ファンの好きな技でTOP3に入る人気の技だ。 大鵬...
川柳徒然草

苦しさを逃れるために馬鹿笑い

哲学者・アランは「幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ」と語っている。人は幸せな状況にあるから笑うのではなく、笑うからこそ、幸せが生ずるということである。 アランは、喜びも悲しみも上機嫌も不機嫌も伝染する、したがって、幸福に...
川柳徒然草

仲裁者頃合いを見て顔を出す

社会生活を送る以上人間関係で、何らかのトラブルに巻き込まれることは避けられない。 子供の世界では、’いじめ’問題が、人間関係の最大のトラブルだろう。いじめ研究家の森田洋司氏によると、いじめには四層構造が有るようだ。「いじめっ子」「い...
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました