川柳徒然草

都合が悪いことは上手に物忘れ

物忘れでも、認知症によるものと老化によるものでは根本的に違っている。 老化による物忘れは、体験の一部を忘れるが、認知症の場合は体験そのものを忘れる。 老化の場合、忘れたことを自覚しており、ヒントを与えると思い出せるが、認知症の...
川柳徒然草

削れるものはみんな削って骨の髄

自分を犠牲にするほど熱心に仕事に打ち込むさま、または、体がやせるほど苦心・苦労することを‘骨身を削る’という。 「古人刻苦光明必ず盛大なり」という言葉がある。 中国・宗時代の禅僧・慈明禅師が『禅関策進』に残している言葉だ。 ...
川柳徒然草

花ひとひら添えてサラダに笑みこぼれ

朝のサラダに、花弁がひとひら添えられているとほっこりとする。 サラダに混ぜられているのだから、食べても安全だろうとそっと口にしてみる。 一片の花だから、ほとんど味は感じない。 最近はエディブルフラワーということで...
川柳徒然草

閉店セール良心置いて踊り込む

流通業にとって、厳しい状況が続き、小売店や飲食店の店じまい情報が溢れている。 小売店が閉店する場合、お決まりの閉店セールがある。 一般的に、小売店で一番売れるのは‘開店セール’、二番目に売れるのは‘閉店セール’といわれ...
川柳徒然草

バランスを少し崩すと動き出す

バランスが取れると言うと、何か都合が良いことのように聞こえる。バランスが取れなくなったときは、平衡に近づけるように動くことが必要だが、一般的な世界では、完全にバランスが取れている状態は、動きが無い状態である。振り子にしろ、弥次郎兵衛にしろ...
川柳徒然草

ひび割れ風鈴が不協和音出す

風鈴の音は、日本では涼しげな音と表現されてきた音である。 秋を知らせるスズムシなどの虫の声と同じだ。 冷房のなかった時代に日本のむしむしとした湿気の多い暑い夏をやり過ごすため、日本人は風鈴の音を聞くことで涼しさを感じてきた。 ...
川柳徒然草

改札機良心咎める音を立て

改札口を通るとき、突然‘ピーッ’という音がして、通路の通せん棒が下りてくる。 駅員が走ってやってくる。ラッシュ時だと、瞬く間に後ろに行列ができ、‘ドジ’という軽蔑の気持ちを込めた、沢山の視線を浴びることになる。 なんとなく罪悪...
川柳徒然草

さっきまで生きてましたと鯛刺身

行きつけの飲み屋に行くと大将が、さっきまで生きてたんですよと、にこにこして鯛の刺身を出してくれる。 美味い酒が進む。 魚をおろして骨皮を取り除き、そのまま食べられる状態に整えて盛りつけたものは‘切り身’である。 ...
川柳徒然草

入道雲がイライライラと湧き上る

太陽がじりじりと照り付ける真夏の午後、突然黙々と湧きあがる入道雲。 夕立が近いぞと構えているうちに、バラバラバラと雨が降り出す。 激しい雷を伴っていることもある。しかし、30分から一時間もすると、パタッと雨がやみ、涼やかさが満...
川柳徒然草

空の箱タネも仕掛けも詰めてある

マジックが大好きで、実際に見に行ったし、テレビ番組もほとんど見ている。手際よくカードやコインをさばくマジシャンの手先の動きも見事だが、大掛かりなイリュージョンにも惹かれる。最近は、ますます大掛かりになってビルやジェット機を消してしまうこと...
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