「頑張らなくてよいのですよ」と、東北大震災の被災地で、瀬戸内寂聴さんが話していた。
我慢強いのは美徳だが、我慢は十分しているから、これ以上頑張らなくてよいのですよ。
言いたいことがあれば、ちゃんと口に出して良いのです、という内容だった。
また、別の場所では、あなたはよく頑張ってきたのだから、自分をほめてあげて、少しは休む時間をとり、心を楽にして、自分の人生を楽しんでくださいと話している。
人生は悪いことばかりじゃない、頑張りすぎて、精神的に追い詰められてはいけないということだった。
手術を何度も繰り返したが、そのときいつも病院の関係者から「頑張ってね」と言われた。
とりあえず、ハイと返事はしておいたが、何を頑張るのかよく分からない。
手術を受ける私は、ただ手術台の上で麻酔を嗅がされ眠っているだけである。
頑張るのは、執刀医やその補助をするナースたちだ。
本当は、あなたたちこそ頑張ってくださいね、というべきだろう。
しかし、頑張らなくてよいと言われると、肩の荷が下りて気楽になり、ヨーシがんばるぞという気になるから不思議だ。
目的達成にまっしぐらで、石にかじりついてもやってやろうとか、絶対弱音を吐かないぞとか、シャカリキになっても人生窮屈なばかりである。
頑張らなくてよいという言葉は、素敵な励ましの言葉だと思う。