見ざる聞かざる言わざるすべて忘れ去る

川柳徒然草
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「見ざる聞かざる言わざる」という言葉は、古くから倫理的な教訓として伝承されてきた。
しかし、この言葉の意味を単に「悪いことは見聞きせず、話さない」と解釈するだけでは不十分だろう。
見ざる聞かざる言わざるという言葉は、単に悪いことを無視するという意味ではない。

私たちは日々、様々な情報や経験に触れ、その中にはネガティブなものも少なくない。
現代社会においては、嫌な記憶や辛い経験を完全に無視することは難しい。
しかし、嫌な記憶や経験をいつまでも抱え続けていると、心が重くなり、前向きに進むことが難しくなってしまう。
むしろ、そういった記憶を無理に忘れようとすれば、かえってストレスやトラウマにつながってしまうことになりかねない。
忘れることは決して悪いことでない。
むしろ、脳の健康を維持するためには必要な機能であるとされている。

忘れることは、意外にも簡単なことかもしれない
近年、脳科学の研究により、「忘れる」という行為が単なる記憶喪失ではなく、脳が能動的に行う情報処理であることが明らかになってきた。
2007年に行われたアメリカのコロラド大学ブレンダン博士らの研究によると、「嫌な記憶は積極的に忘れようと、意識するだけ」で良いことが示されている。
つまり、嫌な記憶を無理やり消去しようとするのではなく、意識的に「忘れる」という選択をすることで、脳は自然と記憶を整理し、ネガティブな感情を軽減することができるのである。
つまり、嫌なことを思い出した時に、「もう忘れよう」と意識的に考えるだけで、その記憶が薄れていくのだ。
これは、脳の記憶メカニズムに基づいた考え方である。
脳は、常に新しい情報を記憶し、古い情報を書き換えている。
そのため、嫌な記憶を意識的に思い出す回数を減らすことで、その記憶が脳の中で活性化される機会が減り、自然と薄れていくようになる。
この研究は、私たちがどのようにして過去のネガティブな記憶を手放し、よりポジティブな未来へと進むことができるかを示唆している。


過去のネガティブな記憶に囚われていると、私たちは現在や未来を楽しむことができない。
忘れることは、心の健康にとって非常に重要である。
嫌な記憶や経験を整理し、積極的に忘れることで、私たちはよりポジティブな人生を送ることができるようになる。
忘れることによって、私たちは心の重荷を軽くし、新しい経験や挑戦に向けて前進することができる。
現代社会において、嫌なことや辛い記憶をすべて無視することはもはや不可能に近い。
むしろ、「忘れる」という行為こそが、よりポジティブな人生を送るための鍵となる。

嫌なことを忘れるためには、心の中でそれらを整理する必要がある。
そこで「心の棚卸」が注目されることになる。
心の棚卸とは、自分の内面に目を向け、感情や記憶を整理するプロセスである。
これにより、私たちは心の中の不要なものを取り除き、必要なものだけを残すことができる。
心の棚卸を行うことで、私たちは過去の嫌な記憶や経験から解放され、新たな可能性に目を向けることができる。

心の棚卸を習慣化することで、自分自身を癒し、ポジティブでより充実した人生を送ろう。
「見ざる聞かざる言わざるすべて忘れ去る」は、私たちが過去のネガティブな記憶を手放し、より明るい未来へと進むためのスローガンとなる。