牧野富太郎博士は、たくさん花に名前を付けている。
中には、’イヌフグリ’という植物もある。
‘イヌフグリ’は、昔、ふつうにみられた野草である。
現在は環境省レッドデータブックの「絶滅危惧種Ⅱ類」に指定されている。
春先に5ミリ足らずの、薄紅色の4弁の花をつける。
実が犬の陰嚢にそっくりなため、命名されている。
花言葉は、名前からは想像しづらいが『女性の誠実』『信頼』である。
一般によく見かけられ、俳句などによく詠まれるのは、‘オオイヌフグリ’である。
‘イヌフグリ’よりやや大きなコバルトブルーの花をつける。
イヌフグリに花が似ているので、オオ(大)をつけて命名された。
明治初期に渡来した、ヨーロッパ原産の帰化植物である。
こちらの実はどちらかといえばハート型に近く、犬の陰嚢を想像するのはむつかしい。
花の名前は、いい加減というか取ってつけの名がついているものも相当みられる。
‘ヘクソカズラ’というのがある。漢字では「屁糞葛」と書く。
ちょっとひどい名前だと思うが、名前通りのひどい悪臭からきている。
ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い)というのは、金平糖のようなかわいい花が咲く。
しかし、小さいトゲをたくさん持っていて、これで憎い継子のお尻を拭くと痛そう、というイメージからきている。
‘アアソウカイ’とか‘モッテノホカ’、掃きだめで見つけたから‘ハキダメギク’というのもある。
もう少し丁寧に名付けてあげればよかっただろうが、普及した後ではもう遅い。