川柳徒然草

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直会でまつりの幕は派手に閉じ

まつりに、‘直会(なおらい)’はつきものである。直会は、神社に於ける祭祀の最後に、神事に参加したものが、一同で神酒を戴き神饌を食べる行事である。神々にお供えした物を下げて戴き、神と人とが一体となる‘共飲共食儀礼’とされている。これが、直会...
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赤鬼青鬼がぐったりと寝る終電車

終電車は、様々な人間模様がみられる。最も目立つのは、ぎりぎりに駆け込む酔っ払いのグループだ。乗り込んですぐは元気いっぱいで、周りの迷惑もお構いなくしに大声でしゃべり合っている。しかし、空席にありついて座ったとたん、眠り込んでしまう。 ...
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肘掛椅子やっと座れば胃潰瘍

「肘掛付き椅子は管理職から、革張りは取締役から」という、不思議なしきたりが多くの会社にある。 つまり、‘肘掛椅子’は何らかの役職についていることを意味している。 しかし、やっと権限を持つ役職に就いたが、その重圧に潰されて胃潰瘍...
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遠雷が行くぞ行くぞと威嚇する

‘遠雷’は、夏の季語である。 夕立の前、急に風が涼しくなって、遠くでゴロゴロと音がする、というイメージである。 積乱雲は発達すると、中で氷の粒がぶつかり合い、静電気を起こす。 静電気は、積乱雲の中でプラスとマイナ...
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結果には拘りませんキリギリス

キリギリスは、夏の日中、草むらでチョンギース、チョンギース、と鳴いて居るのですぐわかる。 イソップの代表的な寓話に『アリとキリギリス』がある。原作では『アリとセミ』だったが、セミがいない国向けに翻訳され、それが日本に伝わってキリギリ...
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花一輪挿して茶室に風の音

文豪・谷崎潤一郎の随筆『陰翳礼讃』(いんえいらいさん)は、日本人の芸術的な感性について論じており、多くの世界の芸術家や思想家に影響を与えた。 西洋の文化では可能な限り部屋の隅々まで明るくし、陰翳を消す事に執着する。しかし、伝統的な日...
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アヒルの群れに白鳥混じりいびられる

アンデルセンは、『みにくいアヒルの子』の中で、「自分が白鳥の卵からかえったのであるならば、農家の庭の隅っこのアヒルの巣で生まれようが生まれまいが、ものの数ではなかった」と書いている。 つまり、‘育ち’より‘氏’の方が大事ということだ...
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あっけらかんと地獄を巡るバスツアー

「地獄めぐり」は、別府市が有名だ。 約1200~1300年前の奈良時代初期『豊後風土記』に、噴気・熱泥・熱湯などが噴出して、近寄ることもできない忌み嫌われた土地と記されている。 色の違う温泉が湧き出る様子が書かれており、当時は...
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華やかな舞台の隅の馬の脚

「馬の足」は、歌舞伎から出た言葉で、馬の脚を演じる役者の事である。 主に、下級の役者がつとめるところから、下級俳優やへたな役者のことをいう。 馬の足役は、張り子の馬を二人でかぶって、前足と後足になる。 前足の役者...
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花らしい名前が欲しいイヌフグリ

牧野富太郎博士は、たくさん花に名前を付けている。中には、’イヌフグリ’という植物もある。 ‘イヌフグリ’は、昔、ふつうにみられた野草である。現在は環境省レッドデータブックの「絶滅危惧種Ⅱ類」に指定されている。春先に5ミリ足らずの、薄...
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