川柳徒然草

帆掛け船次は鶴へと早変わり

折り紙は、海外でも「ORIGAMI」と表記される。 折り紙は、和紙を手づから折り目正しく折り、心を込めて物を包み渡すという、‘折紙礼法’が基にある。 室町時代以降、600年以上の歴史を持つ日本の由緒正しき‘礼法’の一つ...
川柳徒然草

早急に善処しますと口ばかり

「霞が関文学」という分野がある。最近は、永田町文学とも言われる。言質をとられない言い方、柔軟な解釈が可能で、後々逃げることができるようなあいまいな話法や文章を特徴としている。政界や官界で、各方面の顔を立てる、あるいは責任逃れをするためのも...
川柳徒然草

円空は木っ端削ってが仏生む

円空の「木っ端仏」を見ていると、きちんと仏の姿が浮かぶ。一刀彫という、鉈一本で彫られた像と伝えられている。 材料となった木片は、二体の仁王像を彫った残りの木片である。 木っ端の中に「仏」を見て彫っている。
川柳徒然草

攻めあぐね作戦変更ほめ殺し

作家の村上春樹は、「褒め殺しがいちばん怖い」と語っている。   ほめ殺しとは、対象をほめたことで、その相手がだめになってしまうことを指していた。 後に、ライバルをつぶすために、過剰にほめ上げて増長させ、大きなスキャンダルや不祥...
川柳徒然草

明日健診宴の隅の一人酒

健康診断の受診率向上のため、厚生労働省も相当工夫しているようだ。 受診率向上を呼び掛けるため、各自治体向けに「明日から使えるナッジ理論」というパンフレットを出している。 ナッジ理論とは、ちょっとしたきっかけを与えて、行動を起こ...
川柳徒然草

尻馬にすぐに乗るから笑われる

「尻馬に乗る」ということわざがある。 無批判に他人の言動に便乗して、軽はずみな行動をすることだ。自ら判断することをやめ、人任せにした状態である。 「尻馬」とは、人が乗っている馬の後部、またはそこに乗ることであり、前を行く馬の後...
川柳徒然草

にごり眼で世間見るから薄暗い

「目は心の窓である」とプラトンが言っている。 目を見ればその人がどのような人間なのかがわかる。 目は、心の‘構造’を表すと同時に、‘状態’も表している。 子供たちの目は、澄んでキラキラしている。それは、心が清らかだからで...
川柳徒然草

尻に火がついて慌てて神頼み

「尻に火が付く」という言葉をよく聞く。 行動心理学に、行動遅延傾向という言葉がある。 やらなければならない課題や仕事を、ぎりぎりになるまでやらないで放っておいたり、そのために完成できなかったりすることである。 つまり、‘...
川柳徒然草

華やかに見えて影持つ曼珠沙華

曼殊沙華という文字を見ると、華やかさを感じるが、彼岸花というと暗いイメージを想定する。 洋名では、リコリスという名で、町の花屋で普通に売られている。 少年時代に読んだ、北原白秋の詩集『思ひ出』の中の作品の、のちに山田耕...
川柳徒然草

蒔いた種思うほどには花咲かず

「蒔かぬ種は生えぬ」とは、原因がないのに結果が生じることはないという例えである。‘因果応報’という言葉もある。よい行いをすればよい結果が生まれ、悪い行いをすれば悪い結果が返ってくるということである。仏教では、結果も大切にするが、それ以上に...
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