「尻馬に乗る」ということわざがある。
無批判に他人の言動に便乗して、軽はずみな行動をすることだ。自ら判断することをやめ、人任せにした状態である。
「尻馬」とは、人が乗っている馬の後部、またはそこに乗ることであり、前を行く馬の後ろを行くことも意味する。
したがって、尻馬に乗るは、他人が手綱をとる馬の尻に乗ったり、前を行く馬についていくことだ。
自分は乗っているだけ、後ろについていくだけである。
集団が大きくなればなるほど、他の誰かがやるからいいと考えて手抜きをするため、1人が発揮する力は弱くなる。
これを、社会的手抜き、またはリンゲルマン効果という。
ドイツの心理学者マクシミリアン・リンゲルマンが、人は、集団で行動したり作業をするとき、無意識のうちに手抜きをしてしまうということを実験で明らかにしている。
何人かのグループでロープを引っ張り、1人で引っ張るときと比べて力の入れ具合がどう変化するかを測定した。
1人で引っ張ったときの力を100%とすると、以下のような結果が確認できた。
1人 100%
2人 93%
3人 85%
8人 49%
明らかに、人数が多くなるほど他人を当てにして手抜きをしている。
「勝ち馬に乗る」というのが有るが、これは勝ちそうな方に付いていって、勝利に便乗することを意味する。
この場合、少なくともどれが勝ちそうだということは自分で判断しているので、全くの尻馬とは少し違うようだ。