表彰状を渡すとき、二番手以降はほとんど名前だけ読み上げ、「以下同文」で片づけられる。
折角頂いた拍手も、白々しく感じてしまう。
時間の短縮のためだろうが、受賞者はその他大勢として扱われているようで、晴れがましさが薄れるのは当然だろう。
賞状には決まりきったことだけが書かれており、あの面倒くさい文章を人数分読み上げるのは、読む方にとって大変だろう。
聞く方だって、同じ文章をたらたらと聞かされるのは、たまったもんじゃない。
だから、同じ文面を何度も読み上げるのを省略するために、早口で読み上げ、以下同文で片づける。
受賞者は、一段と’その他大勢感’が増してくる。
コメディアン小松正雄の名ギャグ「表彰状、あんたはエライ! 以下同文…」は、まさにこのことをネタにしている。
受賞者の憮然としたとした表情が目に浮かぶし、渡す側の言いようのない後ろめたさも窺えて、秀逸のギャグである。
折角の晴れ舞台だから、表彰を受ける側も渡す側ももっと晴れやかな気持ちになりたい。
せめて、表彰状を渡すとき、なるべくゆっくり読み上げるようにして、「あんたは偉い!」に代わる、「おめでとう」とか「ごくろうさま」とか、そんな一言を添えたらどうかと思う。
拍手を添えるのも、いいことかもしれない。
それだけで、ベルトコンベヤーに乗せられてただ流れているだけ式典が本当の晴れ舞台になるのではないだろうか。
自分が渡す側になった時には、そうしようと思っている。
とってつけたような「以下同文」はやめたいものだ。