川柳徒然草

旅立ちの朝は笑顔がぎこちない

春は、旅立ちの時期でもある。駅で見送りの光景をよく見かける。就職なのか、進学なのか、新たな旅立ちへの見送りだろう。しかし、送る側も送られる側も、一抹の不安を抱えた見送りである。双方が笑顔を見せているが、表情は硬い。 新しい世界へ旅立...
川柳徒然草

墓標は要らぬ櫻一本植えてくれ

阿蘇外輪山の内側の、阿蘇五岳の南側に’一心行の大桜’と呼ばれるヤマザクラの巨木がある。 室町時代末期に戦いで散った、この地方を収めていた城主とその家臣たちの霊を弔うために、一心に行をおさめてこの木を植えたことから、この名がついたとさ...
川柳徒然草

方言が流れる町の温かさ

テレビ・ラジオの影響により、ほぼ標準語が日本全国に浸透し、各地の方言は衰退や変容を余儀なくされている。 しかし、標準語を共通語と言い換える動きや、積極的に方言を守るための動きも起こっており、方言の見直しも行われている。 ...
川柳徒然草

高いから美味いはずだと額で決め

価格が高ければ、美味いはずだと決めてかかる人が結構多い。 味覚は、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の五味が基本味に位置づけられる。 欧米では、長らく4基本味説が支持され続けていた。 1908年に、日本でうま味物質のグルタミ...
川柳徒然草

母に歩幅合わせて時が長くなり

歩行速度は筋肉の衰えなどから、年をとるにつれて徐々に遅くなる。100Mを歩く時間を測定したデータによれば、 20.30代80秒以内 40代 80~85秒 50代 85~97秒 60代 97~103秒 70代以上 103~111秒...
川柳徒然草

連絡は無くて心配有って心配

「便りが無いのは良い知らせ」ということわざがある。 もともとは、海外のことわざで「No news is good news.」からきている。 久しぶりに親に電話でもすると、いきなり「なにかあった?」と言われ、「なにもな...
川柳徒然草

ミニ碁盤持って碁敵お見舞いに

入院見舞いは、なかなか気を遣う。 まだ十分に回復してないときは、お菓子とか花を持参し、多少言葉を交わしたくらいで済む。 しかし、回復期のお見舞いとなると、相手は退屈しきっており、時間をつぶす相手をすることが見舞客に一番期待され...
川柳徒然草

ぽっくりを願いながらの不養生

ぽっくり願望が強くなったのは、昭和47年、有吉佐和子が「恍惚の人」で認知症の高齢者を描いて以来である。当時日本の平均寿命は男性が69歳、女性が74歳。高齢者化率はわずか約7%だった。それから約50年たって、2019年の日本人の平均寿命は、...
川柳徒然草

そば茶屋は見ごろの花も値に含め

花の名所は、時期になればどこも車でごった返す。特に、峠から見下ろす桜の花の群れなどは、これぞ日本の原風景と感じさせられる。周辺の若葉色の中に、ピンクの塊が浮かんでいるさまは圧巻だ。 名所として有名な場所には、大体軽食の店がある。そば...
川柳徒然草

エッシャーに空間感覚狂わされ

エッシャーは、だまし絵で有名である。 上から下へ落ちていたはずの滝が,いつの間にか下から上に流れているという『滝』や、いつまでたっても元の場所に出てくる回廊などを見ていると、時間と空間が混乱してしまう。 エッシャーの絵は、無限...
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