善人だから悪いことには目をつぶる

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善人ぶって世の中を渡っているつもりだ。

善人というと、どちらにもいい顔をするとか、他人の評価ばかり気にする、などのイメージが付きまとう。

上っ面の評価では、心にも無いお世辞を言うとか、世渡り上手などといわれる。

馬鹿正直という見方もあるが、一面では、手の内を隠すとか、何を言っているのかわからないという、やや暗い評価も受ける。

いずれにせよ‘善人’なのだから、‘悪いこと’に近づくわけにはいかない。

悪いということに気づかなければ、悪くない。悪から目を背け、知らぬが仏である。

上手に世渡りをするコツは、見ざる聞かざる言わざるの‘三猿’かもしれない。

幸か不幸か、政治経済の世界を含めて、裏事情がよく見える立場にいた。

どうしても、裏から見る習慣がついている。

見なくてよいものも見えてしまう。

しかし、目をつぶれば、見えないはずだ。

そうすれば、余計なことを言わずに済むし、あれこれ聞かずに済む、聞かれずに済む。

表面的な善人で過ごすのも一つの道だろう。

そのうち、本当の意味の善人になれるかもしれない。

しかし、それで世の中を上手くわたってきても、なんとなく気持ちが落ち着かない。

やはり、見たいものを見て、聞きたいことを聞き、言いたいように言うのが、気持ち的にはすっきりする。

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