3月11日は、東北大震災が起きた日である。
あの日、福岡ではもうすっかり春の気配がして、花もそろそろ咲きそろってくる時期だった。
温かい日差しに誘われ、散歩がてら植物園まで足を延ばした。
昼前には植物園についていたので、さまざまな花を楽しんだ。
帰り道では行きかう人が、いつもよりかなり少ない気はしていた。
途中で寄った喫茶店の雰囲気が何か異常だったが、何があったのか店員に聞くこともなく、そのまま家に帰った。
帰宅後、テレビをつけて初めて、世の中が大変な事態になっていることを知った。
次々に映し出される惨状を目の当たりにして、自然の力のすさまじさに、改めて脅威を感じた。
わずか半日前には、自然の素晴らしさに感激していたのが、すっかり吹き飛んだ。
あれから十年経過した。
被災地は未だに、震災の爪痕が色濃く残されているようだ。
テレビでは、連日のように特集番組が流され、あの惨状を生々しく思い出させる。
被災地の方たちは、今でもつらい思い出ばかりだろう。
被災地はまだ寒い時期で、本格的な春はまだ先のようだ。
こちらでは、当時と同じような春が訪れて、さまざまな花が咲き誇っている。
せめて、花の便りだけでも届けて、気持ちを明るく持って貰いたいと思っている。
春が早く届くように祈りたい。
温かくなり、花が咲きそろい始めると、3月11日のことを思い出す。