アッツ桜秘話を包んだ色で咲く

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アッツザクラ が、花を開き始めた。

我が家のアッツザクラの花は、濃いピンクだがどこかに暗さがある。

アッツザクラのもともとの意味は、葉の厚い桜という、見た目からつけられている。

そこから、「厚桜」と呼ばれるようになり、徐々に名前を変えてアッツザクラと呼ばれるようになった。

たまたま、アッツ島玉砕と名前がかぶり、日本でも人気が出たらしい。

《アッツ島玉砕》という、画家・藤田嗣治の代表作 がある。

雪の積もる孤島の山々を背景に、日本兵が銃剣と日本刀のみで決死の覚悟でアメリカ兵に挑みかかっている。

敵か、味方か判別しづらいほど絡み合った兵士たちの群像が、暗い茶色を基調とした色彩で描かれている。

藤田の想像の範疇で描かれた作品ではあるが、圧倒的な技術力が感じられる作品である。

藤田はその名声のゆえに軍のプロパガンダを担う役割を押し付けられ、このような戦争画を描いた。

そのため、戦後猛烈な批判を受け、日本を去ることになった。

藤田は、日本を去るときに「私が日本を捨てたのではない。日本に捨てられたのだ」と語らざるをえなかった。

藤田はその後フランスに帰化し、「絵描きは絵だけ描いてください。仲間喧嘩をしないでください。日本画壇は早く国際水準に到達してください」という言葉を日本に残している。

この絵には、ピカソのゲルニカに迫る迫力を感じる。