口達者手足も達者で鼻つまみ

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社会に何らかの居場所を見つけ、元気に活動している高齢者は多い。

永年の経験に裏打ちされた豊富な知識は、信頼され尊重されている。

しかし、日本の高齢者は切れやすいと言われている。

労働への意識の違いが、根底にあるのではないかと思っている。

キリスト教文化圏では、労働は神から与えられた罰則である。

したがって、労働からの解放は、罪の意識から逃れ苦痛から逃れることである。

東洋の文化圏では労働は神への奉仕であり、善的行為である。

出来ればいつまでも、労働の機会を持ちたいと願っている。

しかし、現代は好むと好まざるとにかかわらず、ある時期が来たら労働の第一線から身を引くことになる。

心理学者マズローによれば、人間の欲求には「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求(所属と愛の欲求)」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5段階がある。

そして、これら5つの欲求にはピラミッド状の序列があり、低次の欲求が満たされるごとに、もう1つ上の欲求をもつようになる。

労働の第一線から離れた人は、社会的欲求の段階より上が満たされない。

新たな集団に所属し、その中で自分の位置を確立し、認められることが生きがいにつながるのだろう。

老年学の提唱者ロバート・バトラー博士は「長生きの価値はその長さにあるのではなく、それがどのように活用されるかにある」と語っている。

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