春になると、一斉に花が咲き始めて、散歩が一段と他の楽しくなる。
早く咲いた花ほどより鮮やかに見えるのは、周りに比較するものが何もないためだろう。
当然、早く咲いた花ほど早く刈れる。
花によって、‘枯れる’という表現は様々だと知った。
桜は‘散る’である。
ぱっと咲いてぱっと散るさまは、まさに散るという表現にふさわしい。
梅は‘こぼれる’である。
梅の木は桜の木ほど背が高くなく、ちょうど目の高さのあたりから、花がぽろぽろとこぼれ落ちていくことから、こぼれるという表現になった。
椿は‘落ちる’である。
椿は、花の根元からポトリと落ちるので、こう言う。
菊は‘舞う’という。
菊は枯れても、花びらは落ちずに垂れていく。
そして垂れた花びらが風に吹かれ、揺れ動く様子が舞っているように見えるため舞うと表現される。
朝顔は‘しぼむ’である。
朝に見事に花を咲かせるが、昼頃にはしぼんでしまっているさまは、子供のころからよく目にしていた。
牡丹や芍薬は、あっという間に花の形が無くなってしまうことから‘崩れる’と表現される。
紫陽花は‘しがみつく’という。
色が褪せても散ることも花が落ちることもなく、剪定しないといつまでも枝に花が付いたままで、ドライフラワーのようになっていく。
日本人の自然に対する感性の豊かさが表れていると思う。