とかげの尻尾切りということわざで知られているように、トカゲは危険が迫ると尻尾を切って逃げる。
トカゲの場合、しっぽが再生するのは一度きり。
ところが、しっぽがちぎれても何度でも生えてくるのがイモリだ。
イモリの再生能力は、しっぽのほかに足やアゴも再生する。
目は、レンズを19回摘出しても元通りになったという記録がある。
心臓の心室を部分切除しても再び心臓の働きを取り戻す。
脳の一部でさえ再生する。
まさに、再生のチャンピオンである。
人間はトカゲやイモリほどの再生能力は持たないが、皮膚がちょっと傷ついたくらいであれば、数日のうちに自然に治る。
これは皮膚にある幹細胞が表皮細胞などを新しくつくり出しているためである。
我々のからだには、自分自身を複製する能力と同時にさまざまな細胞に分化する能力を持った’体性幹細胞’がある。
その一つである、ES細胞(胚性幹細胞)はどんな細胞になることもできる。
しかし、受精卵からさまざまな細胞へと分化していく、ごく初期段階の胚からつくられるため、倫理的な問題がある。
成体の細胞に遺伝子を導入して人工的につくられるiPS細胞(人工多能性幹細胞)は、胎盤以外のどんな細胞にもなれるが、がん化の可能性など、実用化に向けていくつかの課題がある。
しかし、近未来には、人の期間は全部再生できるようになるだろう。
そうまでしても、生きたい世の中であって欲しい。