空の箱タネも仕掛けも詰めてある

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マジックが大好きで、実際に見に行ったし、テレビ番組もほとんど見ている。
手際よくカードやコインをさばくマジシャンの手先の動きも見事だが、大掛かりなイリュージョンにも惹かれる。
最近は、ますます大掛かりになってビルやジェット機を消してしまうこともある。
どうやって消すのだろうかと、考えるのも楽しい。

ところで、タネ明かしは奇術の世界では重大なタブーと見なされるようだ。
その証拠に、タネ明かしという言葉が一般化しているのは日本だけだという。
日本ではタネは見破るものという文化があるが、海外では一般人にはタネ明かしの概念がほとんどないため、マジシャンが起こした奇跡を純粋に喜ぶ

構造的には、落語に似ているようだ。
オチもストーリーも知っているが、好きな落語家の噺は同じものでも繰り返し聞いて楽しむ。
つまり、わかっているがプレイヤーの鮮やかな演出や技能を楽しんでいるのである。

例えば、ナポレオンズやゼンジー北京、マギー一門のように、ギャグとしてわざとタネが簡単に見破れる奇術を行って、変わらない人気を持っているマジシャンもいる。

マジシャンの前田知洋さんは、「人は、望んでいる嘘にだまされる」「人はだまされたいと思っている」と語っている。
さらに、嘘には文化と科学の領域があって、文化的な嘘は「許される嘘」、科学的な嘘は「許されない嘘」としている。

だまされることを楽しむのも、文化的なことだ。