風鈴の音は、日本では涼しげな音と表現されてきた音である。
秋を知らせるスズムシなどの虫の声と同じだ。
冷房のなかった時代に日本のむしむしとした湿気の多い暑い夏をやり過ごすため、日本人は風鈴の音を聞くことで涼しさを感じてきた。
風鈴は、もともと中国の魔よけとして行われていた‘風鐸’が、日本に伝わった。
青銅製‘風鐸’の、ガランガランという鈍い音が聞こえる範囲は、災いが起こらないとして、寺の仏堂の四隅や仏塔に吊るしていた。
#風鈴の音色 には、α波(リラックスしている時の脳波)を誘発し、人を安らぎへと導いてくれる #‘1/fのゆらぎ’ がある。
小川のせせらぎや小鳥のさえずりなどと同じ高周波音が含まれており、これが脳内のストレスを抑制し、暑さによる不快やイライラをやわらげてくれる癒しの効果があるとされている。
現代の若者たちは、風鈴の音色をやかましいと感じることがあるようだ。
幼い頃から電子音に取り囲まれて育ち、自然の中で過ごす体験が少ない人たちに多くみられるらしい。
小川のせせらぎや小鳥のさえずりなど、その音から背景の澄んだ空気、晴れ晴れとした青空などの自然環境を感じることができなければ、単なる音、として捉えてしまうらしい。
風鈴や秋の虫の音など日本人には風流に聞こえる音でも、外国人にとっては雑音に聞こえるという話と同じことだろう。
ここでも、日本らしさが失われていくようだ。