花一輪挿して茶室に風の音

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文豪・谷崎潤一郎の随筆『陰翳礼讃』(いんえいらいさん)は、日本人の芸術的な感性について論じており、多くの世界の芸術家や思想家に影響を与えた。

西洋の文化では可能な限り部屋の隅々まで明るくし、陰翳を消す事に執着する。
しかし、伝統的な日本文化は、むしろ陰翳を認め、それを利用することで‘陰翳’の中でこそ映える芸術を作り上げた。
それこそが日本古来の美意識・美学の特徴であり、生活と自然とが一体化し、真に風雅の骨髄を表している、と論じている。

確かに、ほの暗い茶室の床の間に飾られた、一輪のツバキはドキッとする妖しい美しさがある。
欧米では、単なる花は素材であり、ふんだんに盛り付けることで、おもてなしの心を表現している。
日本では、花に命を見出し、季節の花をさりげなく控えめに飾ることで、客の創造心を駆り立てて、おもてなしをする。

ここには、日本文化特有の‘そぎ落とされた美’がある。

花は本数によっても、花束に込められた意味が変わると知った。

例えば

  1本『あなたが運命の人』

  3本『愛している』

  12本『恋人(奥さん)になって』

  15本『ごめんなさい』

  17本『絶望の愛』

  99本『永遠の愛』

  108本『結婚してください』

本数の意味は花の種類を問わないようだが、うっかりマイナスの意味を持つ本数にならないように、注文の時に気を付けないといけない。