ビギナーズラック先輩たちの鼻白む

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ビギナーズラックはある。

始めて、ゴルフコースに出た時、いきなりバーディを取った。

何度か行くうちに、ゴルフの難しさが分かるようになり、さっぱり腕が上がらなかった。

最初に釣りに行ったとき、いきなり30センチ以上あるキスを二匹も釣った。

釣りの才能が有ると信じて、道具をしっかりそろえたが、その後は大した釣果も上がらず、いつのまにか釣りから遠ざかった。

「初心忘るべからず」ということわざがある。

もとは、能の大成者・世阿弥によって『風姿花伝』から20年後に書かれた『花鏡』の言葉である。

現代では一般的に、最初にはじめたときの気持ちを忘れずに、その時の気持ちに戻れと解釈されている。

ところが、世阿弥が言っている‘初心’はすこしちがう。

原典は「是非の初心忘るべからず。時々の初心忘るべからず。老後の初心忘るべからず」とある。

「是非の初心」とは、未熟だったころの初心である。

未熟だったころの芸を忘れることなく、芸に励むことである。

「時々の初心」その年齢にふさわしい芸を演じるときであり、その時々が初心者である。

「老後の初心」は、老後になって初めて挑戦する芸があり、やはりその段階では初心者である。

年を取ったからと言ってもういいやとか、完成されたとかいうものではない。

初心者のころから、老後に至るまで、それぞれの段階に「初心」があり、それに応じた努力が必要だと言うことだ。