‘道草’とは、もともとは道端の草のことをさす。
「道草を食う」とは、馬が道端の草を食っていて、進行が遅れることから転じて、’目的地へ行く途中で他のことに時間を費やす’ということだ。
‘地球温暖化予測モデル’を生み出してノーベル物理学賞に選ばれた真鍋淑郎さんは、「もし道草をしなかったら、僕の人生はかなり変わっていたに違いない」と述懐されている。
『子どもの道くさ』の著者・水月昭道さんは、小学生の下校途中の道草について、分析し九タイプに分類した。
信号待ちの時間に、信号機のボタンを連打するような「暇つぶし型」や、点字ブロックから、はみ出さないように歩かなければならないルールの「規則型」、目の前に広がる景色の中で、落ちている石を蹴ったり、草花を見つけて触ったりする「反応型」、などがある。
『子どもの道くさ』によれば、子どもたちの頭の中には五感をフルに使った、気候や季節、気分に合わせて選択するオリジナルの地図が描かれているという。
それぞれ独自の地図に基づき、気分にあわせて登下校のルートを変えているらしい。
その中でいつもとの違いに気づいたり、あるいはこの先は危ないというような動物的な感覚も養われていくようだ。
現代社会は、合理的・効率的・経済的などの判断基準に支配されている。
予定調和から外れた出来事を喜び自ら学ぶ道草は、子供の健康な発育、情操教育に大きく影響している。
しかし道草は、子供ばかりではなく、大人の成長にも大いに役立っているようだ。