「人生100年時代」は本当に来るのでしょうか?その時どう生きれば良いのでしょうか?

人生100年時代
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「人生100年時代」という言葉がよく聞かれるようになりました。
人生100年時代とは、平均寿命が100歳を超える超高齢社会のことです。
人生100年時代は、医学の進歩や生活習慣の改善により、平均寿命が延び、人生のステージが長くなることを意味します。
平均寿命が100歳を超えるのはまだ先かもしれません。
しかし、多くの人が100歳近くまで長生きする時代は、すぐそこに来ています。
その時、私たちはどのような生き方をすれば良いのでしょうか?

1.人生100年時代は本当に来るのでしょうか?

【平均寿命の延伸】
厚生労働省の統計によると、2023年の日本人の平均寿命は、男性81.41歳、女性87.45歳です。
男性が1950年の50.46歳から、30.95歳延びました。
女性も、54.96歳から32.49歳に伸びています。
また1970年と比較しても、男性69.14歳から12.27歳、女性74.49歳から13.06歳も延びています。
この傾向は、今後も続くと予想されています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2040年には、男性の平均寿命が87.72歳、女性の平均寿命が93.14歳になるとされています。

【健康寿命の延伸】
平均寿命は、単に死亡するまでの年数を表すものですが、健康寿命は、健康上の問題で日常生活に制限を受けない期間のことです。
厚生労働省の統計によると、2023年の日本人の健康寿命は、男性72.94歳、女性75.68歳です。
これは、1970年の男性63.27歳、女性65.70歳と比べて、男性は9.67歳、女性は9.98歳も延びています。
平均寿命と健康寿命との差は、介護等で何らかの支援を必要としている期間になります。
これが2023年時点では、男性8.47年、女性11.77年になります。
健康寿命は今後も伸びるものの、平均寿命の延びほどでありません。
したがって、健康上の問題で日常生活に制限を受ける期間は、それだけ長くなることになります。

【医療技術の進歩】
医療技術の進歩により、病気やケガの治療や予防が進んでいます。
また、再生医療の研究が進んでおり、失われた機能を回復できる可能性が高まっています。
このため、多くの病気が治癒可能となり、重症患者でも長く生きられるようになりました。
さらに、介護技術の進歩により、高齢者が自立して生活できる期間も延びています。


平均寿命に関する報告には、次のようなものもあります。
・老化研究の第一人者であるデビッド・A・シンクレア・ハーバード大学医学大学院遺伝学教授は、著書『LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界』で、「あと50年で平均寿命が33年も延びる」と述べています。
先進国の人口の、ほぼ半分が113歳まで生きるということです。
・日経メディカル Onlineが、2021年3月8日~14日、医師会員を対象に、「今後50年以内に、医学の進歩などによって日本人の平均寿命が100歳を超えるかどうか」ウェブアンケートを実施した結果では、「超える」と答えた医師は24.4%にとどまっています。
・生物学者である早稲田大学の池田清彦名誉教授は、オーストラリアの学者が行ったDNA解析の結果では、人間の自然寿命は38才であると紹介しています。

このように様々な異見があります。
データで見るかぎり、平均寿命が100歳を超えるのはまだ先かもしれません。
しかし、多くの人が100歳近くまで長生きする時代は、すぐそこに来ています。


2.「人生100年時代」の課題

人生100年時代に、人口の年齢構成のゆがみから生じる課題について整理してみます。
【社会的課題】
① 労働人口の減少

平均寿命が延びると、働くことができる期間は延びます。
しかし、人口減少が進む中では、労働人口の減少は避けられません。
労働力の不足は、経済成長の低下や産業構造の変化に影響します。
労働力不足が深刻化することが予想され、その解消に向けた対策が必要となります。
それには、生産性の向上や働き方改革による労働時間の短縮、高齢者の就労促進や外国人労働者の受け入れ拡大などの対策が取られます。
また、人生100年時代では、長く働くことが求められる時代ですます。
そのため、高齢者でも働きやすい環境づくりや、多様な働き方の実現に向けた取り組みが求められます。

② 社会保障制度の負担増
人生100年時代になると、高齢者人口の増加に伴い、年金や医療などの社会保障制度への負担が増大することが予想されます。
そのため、社会保障制度の財源確保や、制度の効率化・年金制度や医療保険制度の見直しなど、社会保障制度の持続性を確保するための対策が必要となります。
さらに、社会保障費の増大は、現役世代の負担増や財政赤字の拡大につながります。

③ 地域の活力衰退
高齢者人口の増加に伴い、地域の人口減少やコミュニティの衰退が進んでいます。
地域コミュニティの維持や、高齢者の社会参加の促進が課題となります。
そのため、高齢者が地域社会で活躍できる環境の整備や、地域コミュニティの再構築など、地域社会の活性化に向けた対策が必要となります。
高齢者が活発が仕事やボランティアなどを通じて社会に参加して、経験と知識を共有し、社会全体の発展に寄与できるような仕組みが求められます。

【経済的課題】
① 財政の悪化

高齢者の増加により、医療や年金などの社会保障費が増加します。
財政健全化のための歳出削減や、税収増加などの対策が課題となります。

② 経済成長の鈍化
高齢社会化に伴う労働力や消費の減少により、経済成長が鈍化することが予想されています。
そのため、生産性の向上や、新たな産業の創出など、新たな成長戦略の策定や、イノベーションの推進などが求められます。

③ 雇用と働き方の変革
長寿社会において、働く期間が延びることに伴い、雇用と働き方の柔軟性が求められます。
また、高齢者が働き続けやすい環境や仕組みの整備も必要です。

【個人的な課題】
① 健康寿命の延伸

人生100年時代を健康で生きるためには、健康寿命の延伸が重要です。
そのため、健康的な生活習慣の確立や、健康増進のための取り組みによる、健康づくりや、疾病予防の強化が課題となります。
また、認知症や寝たきりなどの問題が挙げられ、介護や医療の充実などが必要になります。
個人的に、健康を維持するためのライフスタイルの選択や健康管理がますます重要になり、予防医療や健康への意識を持たなければなりません。

② 老後の資産不足
老後の資産不足は、長寿化による生活費や介護費の上昇によって引き起こされます。
さらに年金制度は、少子高齢化による受給者と支払者のバランスの崩れによって危機に瀕しています。
これらの課題に対処するためには、個人の貯蓄や投資の促進、年金受給年齢の引き上げや繰り下げなどが必要です 。

③ 人生設計の見直し
人生100年時代は、これまでの人生観や働き方を見直す必要があります。
個人は長い人生を前に、ライフプランの作成や、キャリアの再設計が課題となります。
キャリアの変化や再教育、リタイア後の生活計画が個人の重要なテーマとなります。

④ 社会とのつながり
長寿社会では孤立感や社会からの孤独感が問題となる可能性があります。
個人は積極的に社会とのつながりを大切にし、コミュニティに参加することが求められます。

⑤ 生きがいの創出
人生100年時代では、長く生きがいを持って生活することが重要です。
そのため、生きがいを見つけるための支援や、新たな生きがいの創出に向けた取り組みが求められます。

人生100年時代は、これまでの常識が通用しない時代です。一人ひとりが、自分らしく、充実した人生を送るために、新たなチャレンジをしていくことが求められています。


3.人生100年時代をどう生きればよいのでしょうか?
 ~自分らしい生き方、後悔しない生き方~

人生100年時代を迎え、私たちの生き方は大きく変化しています。
これまでの「学校→仕事→引退」というライフモデルは通用しなくなり、個人の生き方はますます多様化していくでしょう。
そこには、人生の選択肢が広がるなど、新たな可能性が広がる機会も広がっています。
人生100年時代の、自分らしい生き方、後悔しない生き方について考えてみたいと思います。

【自分らしい生き方】
自分らしい生き方とは、自分の価値観や目標を明確にし、それに基づいて行動する生き方です。
そのためには、まずは自分の価値観や目標を明確にすることが大切です。
自分の価値観とは、何を大切にして生きていきたいのか、人生で何を達成したいのかといった考え方になります。
自分の目標とは、人生で達成したい具体的な目標です。
自分の価値観や目標は、仕事や家庭、趣味、健康、社会貢献など、さまざまな分野で考えなければなりません。
また、自分らしい生き方とは、変化に柔軟に対応できる生き方であり、周囲の人との関わりの中で育まれる生き方であるとも言えます
まずは、自分が大切にしていることは何か、人生で何を達成したいのかをしっかりと考えてみましょう。

【後悔しない生き方】
後悔しない生き方とは、自分の人生を振り返って、やりきったと思える納得できる生き方のことです。
そのためには、自分の人生の目標をしっかりと設定し、その目標に向かって努力を続けることが大切でしょう。
また、後悔しない生き方とは、自分自身を大切にする生き方であるとも言えます。
自分の心と体に向き合い、自分にとって何が大切なのかをしっかりと考えることが大切です。
人生100年時代は、長い人生を自分らしく生きるためのチャンスです。
自分らしい生き方、後悔しない生き方を模索しながら、充実した人生を送っていきましょう。
後悔しない生き方を実践するためには、次のポイントが大切です。
① 自分の可能性を信じること。
② 常に学び続けること。
③ 人とのつながりを持つこと

自分らしい生き方、後悔しない生き方を実現するための具体的なヒントは、以下の通りです。
・自分の価値観や目標を明確にする
・多様性を受け入れ、自分らしい生き方を見つける
・変化に柔軟に対応し、生き方をアップデートする
・周囲の人との関わりを大切にする

人生100年時代の生き方を考える際には、まず自分の価値観や目標を明確にすることが大切です。
そして、自分の可能性を信じ、常に学び続けることで、後悔しない生き方を実践できるでしょう。
チャールズ・ダーウィンは、『種の起源』で、「生き残るのは、最も強い種でも、最も賢い種でもなく、環境の変化に最も敏感に対応できる種なのです」と言っています。
新しい環境に、上手く対応してゆくために、私たちは今までとは違った生き方をすることが求められているのです。


まとめ

人生100年時代、その長い人生をどう生きたらよいのでしょうか?
高齢になっても、自分の人生は創造し変革できます。
積極的に、自分で自分の人生を切り開いてゆくことが大切です。
常に前向きに、自分の人生を考えていくことが大切です。
長い人生を豊かに生きるには,これまでの「教育→仕事→引退」という人生の送り方から、多様な「マルチステージ」の世界へと踏み出す覚悟が必要になるでしょう。


※次回は、人生100年時代をどう生きればよいのかというテーマで、生きがいつくりなどを中心にして考えたいと思っています。ぜひご覧ください。


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