ピカソは、20世紀最大の画家である。
その代表作は「ゲルニカ」だとされている。
ピカソは「アートは部屋の飾りではない。敵から守るための、攻撃兵器だ」と語った。
その言葉を具現する作品として、’ゲルニカ’が描かれている。
「ゲルニカ」は、ピカソが戦争への怒り、平和への祈りを込めて描いた大作だ。
1937年4月、ピカソの故郷スペインの小都市ゲルニカが、ナチスドイツによって無差別爆撃された直後の様子が描かれている。
ピカソが、このニュースを聞き、戦争への憤りから一気に描き上げた。
小学生のころ、ピカソの記録映画を見た。
そのデッサン力のすごさに驚いた。
特に印象に残ったのは、少年時代にデッサンだった。
その時の自分の年齢と変わらなくらいなのに、あれだけのデッサンが描けるというのは、やはり天才だと感じた。
その映画で、赤の時代、青の時代を経て、ゲルニカの画面がスクリーン一杯に出たときは、呆然とした。
これが戦争に対するピカソの怒りの表現だということは、ナレーションで理解できた。
しかし、この絵には銃もなく戦車もなく、飛行機もなく爆弾もない。
白と黒のモノトーンで書かれているから、流れている血も無ければ燃えさかる炎もない。
ゲルニカは、単なる反戦意識から描かれた絵画だと思っていたのだが、もっと大きな世界平和を願って描かれたものだった。
国連本部には、この精巧なタペストリーがかけられており、全世界に平和を訴えかけている。
国連も、ピカソの怒りの声に真剣に応えて、本当の意味の世界平和を願って行動してほしいものだ。
ウクライナに対する、大国ロシアの侵略行為に対し、国連は何も出来ない。
大国の政治的かけひきばかりが目立ち、本当の平和に意識が向いてないのは残念だ。
何しろ侵略の当事者が、’安全保障理事会’の常任理事として、決議に対する’拒否権’を持っているのだから、決まるはずがない。
「ゲルニカ」にみられるように、アートが世界平和を取り戻す武器になって貰いたいと願っている。