’脚下照顧’という言葉がある。自分の足元をよく見よ、という意味である。
よく、お寺等の玄関に掲げられており、一般には‘履物を揃えよ’と解釈されていることも多い。
もとは禅の語で、他に向かって悟りを追求せず、まず自分の本性をよく見つめよということだ。
ここから、他に向かって理屈を言う前に、まず自分の足元を見て自分のことをよく反省せよと言っている。
足元に気をつけよという意味で、
身近なことに気をつけるべきことを指している。
自分の足元が見えていない人は、自分自身が見えていない人だ。
したがって、人生の行く先が見えていないことである。
確かに、履物が乱れているのは、その主の心も同様に乱れているとみてとれる。
人の心は見えないが、形として現れる行動にその心の動きが見える。
自分の生活の〝足許〟を見直すようにとのメッセージと受け、何かを外に求める前に、自分の気持ちを素直に聞けということだろう。
まずは今できること、今やるべきことにすぐ取り組むこと。
自分の足元に目を向けながら一歩一歩着実に歩を進めることが大事だと思う。
ニーチェが「成功者は自分の弱点をよく見つめ、理解し、さらに長所のバリエーションのように見せる」と語っているが、まず足元を見つめ直し、前をしっかり見ることが大切だろう。