不動尊の憤怒の相に目を逸らす

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密教系の寺院に多い不動尊の怒りの目を見ると、なぜか目を逸らせる。

お前は悪いことをしたのだと、睨みつけられている気がするからである。

誰だって、大なり小なり後ろめたいことがあるはずだから、何もありませんとは言えない。

だから、何かあるだろうと問い詰められると、どうしても目を逸らさざるを得ない。

目をつぶってはくれないようだ。

不動尊は、不動明王とも呼ばれ、火焔に包まれた光背の中で、青黒い体を持ち、目は天地眼(てんちげん)といって右目を天に向けて左目を地に向けている。

口は牙上下出といって右の牙を上に出して左の牙を下に出している。

密教系宗派の中心佛である大日如来が、穏やかな姿のままでは強く衆生を教化できないため、忿怒相に変身したとされている。

仏法に従わない者を恐ろしげな姿で脅し教え諭し、仏法に敵対する事を力ずくで止めさせる役割を担っている。

煩悩を抱える最も救い難い衆生をも力ずくで救うために、忿怒の姿をしているのだ。

簡単に言えば、仏法の障害となるものに対しては怒りを持って屈服させ、仏道に入った修行者には常に守護をして見守っている。

優しさだけでは、人をまともに教化できないということだろう。

たいして悪いことはしてないつもりでも、やはり目を逸らせてしまう。