たっぷり昼寝をした日は、なかなか眠りにつけない。
そんな時は、ミステリーを読むことにする。
特に、アガサ・クリスティの作品は、トリックが巧みであり、シンプルで読み易い。
人物描写がいきいきとしており、会話が多いのも特徴であり、魅力のひとつだ。
なかでも、エルキュール・ポアロのシリーズは、ユニークな人物設定も相まって面白い。
ポアロには、テレビで彼を演じたデヴィッド・スーシェのイメージが付いて回るが、原作もほぼあのとおりである。
ギリシャ語読みするとヘラクレスになるエルキュールという名前に反して、身長163cmの小男である。
つるりとした卵型の頭、ぴんと跳ね上がった大きな口髭、見るものを引き付ける緑色の目が特徴的だ。
相当な自信家で、彼の代名詞である「灰色の脳細胞」をフルに活用すれば、どんな難事件も解決できると自負している。
フランス語訛りの英語を使い、合間にフランス語を混ぜた話し方をして、時に英国人に外国人だという油断させ、事件に関わる情報を引き出すこともしばしばある。
しかし、フランス人と誤解されると露骨に気分を害し、すぐにベルギー人であると訂正を入れる。
全ての謎を解明した後に容疑者を一室に集めて説明、真犯人を指し示す。
このスタイルは後に続く多くのミステリー作家に踏襲されている。
今夜もポアロで、よい眠りにつきたいものだ。