五百羅漢悪友の顔みな揃い

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大分県の耶馬渓にある羅漢寺には、日本最古の五百羅漢が祀られている。

全国「羅漢寺」の総本山である。

1300年以上前の大化の改新の頃、インドの僧侶・法道仙人がこの地で修行したことから開かれた岩窟寺院である。

ここには、全体で3770体もの石仏が安置されている。

その一部に、室町時代初期・南北朝の時期 1360年頃に一人の僧によって彫られた、五百羅漢像が祀られている。

岩屋に祀られている五百羅漢は、笑った顔、瞑想にふけった顔、おどけた顔、中には拗ねたような顔まである。

一つ一つ見て歩くと、友人知人にそっくりの顔に必ず出会うことができると言われている。

自分に似た顔もあると言われるが、これだけ並んでいると自分の顔がどんなだったかなかなか思い出さない。

しかし不思議に、悪友たちの顔はあちこちに並んでいる。

悪友たちの普段の行状を知っているので、その顔の仏を拝んでも、あまり御利益があるとは思えない。

しかし、「竹箒も五百羅漢」ということわざもある。

「鰯の頭も信心から」と同様に「つまらないものでも信じる人にとっては価値がある」かもしれない。

「羅漢」は、仏教の供養尊敬を受けるに値する人「阿羅漢」(あらかん)を略した言葉である。

それが五百も集まっているのだから、少しくらい質のばらつきがあっても、全体でカバーしてくれるだろう。

そう信じて、願いごとをしてきた。