近年は、大型の自然災害が増えている。
テレビのニュースを見ていると、災害から日が経っているにもかかわらず、いまだにブルーシートに覆われた屋根姿が映し出される。
被災から数年たつと、シートの上には土が積り、春になれば草が芽吹いてくる。
そして、花を咲かせる。
普通に野原に咲いていると、可憐さを見出すこともできる雑草の花だが、屋根の上に咲いていると侘しさの方が強く意識される。
被災地では、復旧のため建設工事など「ハード面」にまず公的支援措置が取られる。
被害の大きな個所や、多くの住民の生活に重要な箇所が優先されるのは仕方がないことだろう。
しかし、金銭的な支援もだが、人的な支援も、そのような地域から外れた個所は取り残される。
行政はいつまでもそういう事態にかかりきりというわけにはいかず、区切りを付けようとする。
対策から漏れた個所は、区切りが付かないままとなる。
ハード面で取り残された地区は、ソフト面でも立ち直りがむつかしい。
被災前は、わずかに残されていた地域コミュニティの多くは、崩壊している。
いったんバラバラになってしまった、コミュニティをゼロから作り直さないといけない。
こうして、時間をかけている間も、風雨による痛みは進行して、屋根の上の雑草はますますはびこってゆく。
薄っぺらな同情や、正義感だけでは被災からの復興は難しい。