建前にこだわり本音出しそびれ

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いわゆる日本人論の中で、建前と本音の使い分けが挙げられる。

日本人は建て前ばかりで本音を表さない、というのである。

果たして、日本人は建前だけで交渉しているのだろうか?

本音を出さないままで、交渉などできるのだろうか。

日本人以外は、本音で交渉しているのだろうか?

外国の人と、ビジネスの交渉をすれば分かることだが、通常の交渉はまず自分の方の最大の要求を出すのが当たり前である。

日本人は、勝手に相手側の気持ちを忖度し、高い要求水準だと相手の気分を害すると信じ、譲歩した要求を出す。

そこから交渉開始であるから、日本人が交渉下手と言われるのは当然だろう。

では、相手側は初めから本音で交渉に望んでいるのだろうか?

違うと思う。

高めの要求水準を吹っ掛けるというのも、建て前である。

初めから、そのような水準でまとまるとは思ってないのだが、少しでも相手の譲歩を引き出すために高めの建て前で交渉に臨んでいるのだ。

つまり、建て前の水準を、高めに設定するか低めに設定するかの差だけである。

どちらも、交渉事で初めから本音は出してないのだから、遠慮する必要はないし、気後れする必要もない。

儒教の影響が強い文化圏では、人為的道徳や形式主義にとらわれ、建てまえが強く追い出される傾向にある。

変な日本人論に縛られることはないと思う。