古今東西、弓の名人はたくさんいる。
とくに有名なのは、ウィルヘルム・テルだ。13世紀から14世紀のスイスで活躍したとされる。
テルがとくに有名なのは、80歩離れた所から、息子の頭上のリンゴを射ち落とす場面である。
逮捕されたものの逃亡し、圧政をしいていた代官を弓で射殺。
これを契機に、人々はハプスブルク家に反乱をおこし、スイスは再び自由を得る。
実在の人物としては、ロビン・フッドがいる。
12世紀、イギリスのシャーウッドの森に仲間と住み、悪い役人、横暴な貴族らから、金品を奪い、貧しい者に分け与えたと義賊である。
日本の弓とよく似た、長弓に優れていたとされている。
わが国では、那須与一である。
平家物語の「扇の的」は、中学の教科書に出ている。馬に乗り海に踏み込んで、風が強く揺れる船の上の約80M先の扇の的を射抜いた話は、リズミカルな文章とともに、強く印象に残っている。
テレビで、ほぼ同じ状況を設定し、80M先にある扇の的に当たるかどうか実験した番組を見た。
現代の達人が挑戦して、数十回目についに当たった。
弓道をたしなんでいたものとしては、その状況で的に当てることは奇跡的と思えた。
しかし、那須与一は一発で射落としており、昔の人はものすごい鍛錬をしていたことがうかがえる。
今の時代は効率重視になっており、手抜きが多くなっているのかなと思う。