’渡る世間に鬼はない’ということわざがある。
世の中は殺伐としていて、無慈悲な人ばかりであるようにも思われがちだが、実際のところは鬼のような無情の者ばかりではなく、情け深い優しい人だってたくさんいる、ということを表している。
いかにも、日本人の特性をよくあらわしたことわざとされている。
近年は、このことわざをもじったテレビドラマのタイトル’渡る世間は鬼ばかり’の方が、良く知られているようだ。
社会心理学者の山岸俊男氏の調査では、‘たいていの人は信頼できると思いますか’の問に、そう思うのがアメリカ人47% 日本人26%だった。
また、‘他人は隙があればあなたを利用しようとしていると思いますか’に対しては、そう思うがアメリカ人62% 日本人53%だった。
この結果から、アメリカ人は「渡る世間に鬼はなし」という諺に近い行動をとり、日本人は「人を見たら泥棒と思え」という行動をとっていると分析している。
この調査結果を見ると、我々日本人は世間に鬼はいないと思っているわけではなく、鬼はいるという前提で社会を作っていることになる。
「捨てる神あれば拾う神あり」ということわざがある。
世の中にはいろいろな人がいて、見捨てられたり、愛想を尽かされたりすることもあるけれど、助けてくれたり、親切にしてくれる人もいる、ということだろう。
世間をうまく渡るのは難しいものだ。