太平を当たり前だと平和ボケ

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歴史的にみても、永遠の平和などありえない。

わが国は世界を相手にして戦った無謀な戦争体験を経て、すでに七十年以上たった。

その間、幸いにも大きな戦争に、直接巻き込まれることもなく、’太平’の世を過ごしてきた。

哲学者カントは、争うことは人間の本来の性質であり、戦争は人間の本性であるから、現実世界では永遠の平和状態を達成することはできない、と言っている。

人類にとっては、戦争状態が通常であり、平和状態は奇跡であるということだ。

したがって、平和は自然に達成できるのではなく、努力をすることによって新たに創出する必要がある。

そのためには、永遠の平和状態という概念そのものが、目指すべき目標として役に立つ。

そして、達成の見込みが無いからと言って、最初からやらないのではなく、それを目指すことが大事なのだ。

そこで、諸民族の寄り合いからなる国家の連合が、永遠平和を努力目標として掲げた機関が必要と唱え、国際連盟ができるきっかけとなった。

しかし、この組織が広い地域にわたってあまりにも拡大されると、それを統治し、ひいてはまた各成員を保護することは、ついに不可能とならざるをえない。

こうして連合体を形づくる諸集団は混乱し、ふたたび戦争状態をひきおこすきっかけともなりかねない、と予言している。

国連の現状を見ると、まさにその通りだと言えよう。