芥川龍之介の『侏儒の言葉』の中に、「好人物は何よりも先に天上の神に似たものである。
第一に歓喜を語るのに好い。
第二に不平を訴えるのに好い。
第三に――いてもいないでも好い」という文がある。
この文書には少し前の部分があって「女は常に好人物を夫に持ちたがるものではない。しかし男は好人物を常に友だちに持ちたがるものである」とある。
たいがいの人は、他人に嫌われたくないと思っている。
‘いい人’という言葉は、心のよい人、気だてのよい人、悪気のない人、善人といわれ、またお人好しとも言われる。
人に嫌われたくなくて、無理に良好な人間関係を築こうとすると、自分が傷ついてしまうものだ。
アメリカの心理学者、カール・ロジャースの「2:7:1の法則」 というのがある。
世の中には、十人のうち2人の、自分の考えや行動について無条件で肯定的な‘気が合う人’がいる。
そして、7人のその時々の状況、気分などで変化する‘どちらでもない人’がいる。
しかし、1人の何をしても否定的、こちらが気をつかっても、よく思ってくれることはなく、嫌っている‘気が合わない人’がいる、という法則である。
自分を嫌っている人が、1割くらいは居るということだ。
この人たちには、何をしても嫌なことと思われる。
人は誰もが誰かに好かれが、誰かに嫌われる。
無理にいい人のふりをしなくても、楽に生きていれば良いのだ。