結果には拘りませんキリギリス

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キリギリスは、夏の日中、草むらでチョンギース、チョンギース、と鳴いて居るのですぐわかる。

イソップの代表的な寓話に『アリとキリギリス』がある。
原作では『アリとセミ』だったが、セミがいない国向けに翻訳され、それが日本に伝わってキリギリスになったようだ。

セミとしての物語だったら、違った感情でこの物語を読んだだろう。
キリギリスだと、夏の間じゅう楽しく歌いまくっているさまがすぐ思い浮かぶ。
しかしセミの場合、わずかに残された時間を必死に生きているようで、‘楽しく歌いまくる’イメージはわかない。

ところで、この物語の結末は大きく分けて2種類ある。
日本で普及している物語は、アリがキリギリスを助け、キリギリスが改心することになっている。
目の前の楽しさに溺れ、先のことを考えないと、後で苦しむという教訓が含まれている。
原作のアリは「夏は歌っていたのだから、冬も歌えば?」と笑い、食糧の提供を拒絶する。
するとキリギリスは、「もう歌うべき歌はすべて歌った。君は僕の亡骸を食べて生き延びればいいよ」と言って、アリの家の前で餓死した。

しかし、キリギリスの「歌うべき歌はすべて歌った」と語る結末は、幸せの尺度に個人差があり、様々な生き方があるのを示しているようにも考えられる。

ちなみに、野生のキリギリスの平均寿命は約2ヶ月であり、冬を越すことなく皆死んでしまう。