朝晩冷え込む季節になると、フグがおいしい時期になる。
「フグは食いたし命は惜しし」ということわざがあるが、淡白な味だから刺身でもチリでも天ぷらでもイケる。
しかし、最近は超高級料理になってしまって、簡単には手が出せない。
フグはテトロドトキシンという、非常に高い毒性を持つ、青酸カリの850倍ほど強力な毒を持っている。
内臓にはその毒が蓄積されているため、食品衛生法によって販売を禁止されている。
フグの肝は、体重の約2割を占めている。
昔は、北部九州や山口県辺りではフグの肝を食べさせる店もかなりあった。
フグの肝は、やや脂っこいが、ねっとりと濃厚でおいしい。
カワハギやアンコウの肝と似ている。
大分県の一部では今でもフグの肝を食べさせる店があると、ネットにはよく出ている。
ところが大分県ホームページでは、食品衛生の相談のところに「ふぐの肝は食べられません」と出ている。
やはり、大分県でも公にフグの肝を食すことは認めてないようだ。
フグの毒は海中の細菌から生まれ、ヒトデや巻き貝を食べたフグに蓄積する。
最近では養殖で、餌の管理を徹底することによって無毒のフグが誕生しているが、こちらも肝の販売は禁止されている。
素人には、天然物と養殖物の違いが分からないため、混乱して事故が起きないためである。
こんなうまいものを、簡単に食べられないのは少し残念だが、命には代えられない。
しかし、食品衛生法は食べた人を処罰する法律ではないので、あくまでも個人責任において、命を賭けて食べる分には構わないらしい。
しかし、命をかけてまで食べる気も起きない。