終着駅あすは始発の汽車が出る

川柳徒然草
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終着駅という言葉には、どこかもの哀しさが伴う。列車が旅を終え、人々が下車する。その先はもう何もない、そんなイメージである。旅の終わりを告げる駅、人生の終わりを暗示する駅、行き場のない行き止まりを象徴する駅。言葉自体に宿る「どん詰まり感」が、人の心に影を落とす。列車が終着駅に到着する瞬間、まるで一つの物語が終わるかのような感覚を抱かせる。

始発駅は、未知の旅へのスタート地点だ。夢や希望が詰まった列車が、始発駅から出発する。これから始まる旅路への期待と、高揚感が胸を膨らませる。新しい旅の始まり、新たな門出、可能性に満ちた未来を想起させる。始発駅は、新たな門出のイメージが強くなり、ポジティブなイメージが湧く。

しかし、終着駅と始発駅は、同じ駅だ。視点を変えれば、終着駅は始発駅であり、始発駅は終着駅でもあるのだ。終着駅が「どん詰まり」の感覚を与えるのに対し、その駅が始発駅であると考えると、全く異なる景色が広がる。ちょっとした見方の違いで、同じものでもこんなに差が出る。

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人生も同じではないだろうか。私たちは皆、終着駅と始発駅を何度も行き来する。人生の終わりという終着駅にたどり着いたと感じても、それは新たな旅の始発駅でもあるかもしれない。その時に、「終わり」と捉えるのか「始まり」と捉えるのかで、心の持ちようが大きく変わるはずだ。

今まで終わりと感じていた場所が、新たな始まりの地点として輝き出す。これこそが、人生を豊かに生きるための鍵である。終わりを嘆くのではなく、始まりとして受け入れることで、新たな可能性が広がるのだ。視点を変えることで全く異なる未来が見えてくる。大切なのは、終着駅に囚われて立ち止まるのではなく、次の始発駅を見つけて新たな旅に出ることである。

夢を持つということも、この二つの駅の関係と似ている。夢は、時には行き場のない行き止まりのように思える。叶わないかもしれない、無駄な努力かもしれない、と諦めそうになることもある。しかし、夢を持つことは、新たな旅の始まりでもある。夢を持つということは、新たな始発駅を見つける羅針盤となる。

最近の脳科学の研究によれば、夢を持っているとその夢に無意識に関心が向かい、思いがけない量と質の情報が集まるようだ。この現象は「セレンディピティ」と呼ばれる。夢を持つことで、多くの情報が自然と集まり、その中から取捨選択をして判断ができるようになる。情報をあまり持たずに為される判断とは、決定的な違いが生まれる。このプロセスは、新しい始まりを迎えるために非常に重要である。

「終着駅」を「始発駅」として捉え、明日に向かって歩みを進めていきたいと思っている。

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