人生には、誰しもが避けられない「苦」が存在する。しかし、その苦しみの中にも楽しみを見つけることができれば、心は晴れやかになる。これは、視点を変えるだけで実現できるのだ。
仏教では、「苦」とは思いどおりにいかないこと、と捉えている。つまり、私たちが感じる苦しみは、期待や願望が現実と一致しないことから生じる。人生は思うようにならないことの連続であり、時にその不確かさが苦しみを引き起こす。
「苦中作楽(くちゅうさくらく)」という言葉がある。
この言葉は、もともと苦しい世の中で心がとらわれ、その状況を楽しみとして受け入れるという自虐的な意味だった。
しかし、時が経つにつれ、「苦しい中でも楽しみを見つけ出す」という前向きな意味に変わってきた。
昭和史の黒幕と言われた安岡正篤の座右の銘『六中観』に、「苦中有楽(くちゅうらくあり)」という言葉がある。
「いかなる苦にも楽がある。貧といえども苦しいばかりではない。貧は貧なりに楽もある」として、「苦の中にこそ楽を観つめよ」と言っている。
苦楽は常に相対的なものであり、苦の中に楽あり、楽の中に苦があるという二重構造を持っている。つまり、苦しい状況の中にこそ、成長の機会や喜びを見出すことができるという考え方である。視点を変え、ポジティブな面を見つけることで、どんな困難も乗り越えられるということだろう。
視点を変えるためには、普段から多角的に見る習慣づけが必要となり、それが苦楽を乗り越えるための重要な鍵となる。物事を一つの側面だけに偏って見ようとすると、考えも偏ってくる。しかし、様々な角度から物事を観察することで、より多くの情報を得ることができ、より客観的な判断を下すことができるようになってくる。
多角的な視点を持つことで、困難を乗り越えられるのだ。困難を乗り越えた時、その達成感は何物にも代え難いものである。様々な角度から物事を見ることで、新たな発見や気づきを得ることができる。
苦しみの中に楽しみを見つけるためには、まず自分の状況を客観的に分析することが大切だろう。自分がどのような状況に置かれているのか、何が原因で苦しんでいるのかを理解することで、解決策が見えてくる。それこそ「苦中作楽」である。
苦と楽は一体であり、切り離せないコインの裏表である。楽を追い求めるだけではなく、苦の中に潜む楽を探し出すことこそ、心の晴れやかさにつながる。視点を少し変えることで、人生のどんな局面にも小さな光を見つけることができる。苦しみの中で足を止めず、その中にある喜びを見出すことが、真の成長と幸せにつながるのではないだろうか。
視点を変えるために、心がけねばならないことポイントを挙げてみる。
・ポジティブな側面を見つける:どんな状況でも、ポジティブな側面を見つけることが大切だ。例えば、雨の日には家でゆっくり過ごす時間が増えると考えることができる。
・感謝の気持ちを持つ:感謝の気持ちを持つことで、苦しみを楽しみに変えることができる。例えば、健康であることや家族がいることに感謝することで、日常の小さな苦しみが軽減される。
・目標を設定する:目標を設定することで、苦しみを楽しみに変えることができる。例えば、ダイエットをする際には、目標体重を設定し、その達成を楽しみにすることができる。
苦しみの中に楽しみを見つけることは、視点を変えるだけで実現できる。苦中作楽の精神を持ち、日常生活で実践することで、心は晴れやかになる。苦楽は相対的なものであり、苦の中に楽があり、楽の中に苦があることを理解し、視点を変えることで、人生をより豊かにすることができるのだ。