彼岸前には、墓掃除に行く。
ところどころに、草ぼうぼうの墓を見かける。
墓を守る人が、来られなくなったのか、いなくなったのだろう。
わが国は、2004年(平成16年)の1億2700万人をピークとして、人口減少時代に入った。
2048年には、1億人を切り、2100年には7千5百万人と予測されている。
人口は約4割減である。
人口が減ることは、墓を見守る子孫の数も減るということだ。
しかも経済は、ますます広域化しグローバル化している。
子孫が墓参りできる地域に住んでいることは、かなり確率が低くなる。
それなのに定期的に墓掃除をしろというのは、無理な話だ。
先祖が祟るとか、先祖の霊のためよくないことが起こる、などという人がいる。
一般的には、親は子が可愛いわけで、先祖が子孫に祟るなどはあり得ない。
そもそも、先祖を敬うという思想は、儒教から来たものである。
孔子の生きた春秋時代は従来の身分秩序が崩壊した時代であり、孔子は家父長制に基づく家族関係をもとに社会秩序を再構築した。
それがほぼそのまま日本の仏教に取り入れられて、今の形になっている。
ある禅宗の高僧が、子孫に祟るような先祖なら捨ててしまえと言った。
なるほどと思う。
子孫に余計な負担をかけるのは、良い先祖とは言えないだろう。
無用な墓などは、残さないようにしようと思っている。