花の名所は、時期になればどこも車でごった返す。
特に、峠から見下ろす桜の花の群れなどは、これぞ日本の原風景と感じさせられる。
周辺の若葉色の中に、ピンクの塊が浮かんでいるさまは圧巻だ。
名所として有名な場所には、大体軽食の店がある。
そばやうどん、簡単な定食などが中心メニューである。
花の時期と紅葉の時期以外は、通りがかりのドライバーが昼食時に寄るくらいで、普段は結構ゆっくりしている。
しかし、花見や紅葉の時期には、駐車場が溢れんばかりになり、店内もかなり遅い時間までごった返す。
特に、花の時期は短いので、その時期の週末などは収拾がつかないほどの混みようになる。
店内の壁に貼っているメニューを見ると、品名の下には紙で張り付けた新価格が表示されている。
価格は、需要と供給の関係で決まるものである。
押し寄せた見物客の需要にこたえるためには、相応に価格が上がるのはやむを得ない。
しかし、価格部分だけぺたりと新価格が表示されており、元の価格が丸見えである。
あまり良い気はしない。
そうは言っても、ようやく渋滞にめげずたどり着いた花の名所だ。
少し腹に入れてゆっくりしたい。
多少の価格アップには目をつぶり、メミューを見回すことになる。
二週間もすれば、元の価格表示に変わるのだろうけれど、咲き誇る花に免じてそばを頼む。