禅寺には、円窓がたくさん見られる。「悟りの窓」というらしい。
円窓を通して見える景色は、なんとなく他とは違って見える。
窓越しの庭園を見ると、自然がまるで芸術作品のようだ。
世界を丸い枠で切り取っているのだから、丸く見えるには当然だが、円窓を通すと特別なものに見えてしまう。
角の無い空間が、癒しの効果をもたらしてくれるからだろう。
色付きサングラスを通して世界を見れば、青かったり、赤かったり暗かったりしている。
フィルターをかけて物を見ると、フィルターを通した世界が見える。
外の世界の状況は変わらなくても、こちらの視点や視野が変われば、見え方が変わる。
だから、円窓を通す世界は丸く見える。
最近は、円窓を設けている建物をよく見かける。
ビルの高層階に円窓があると、そこからのぞく世界はやっぱり丸い。
日常から、円窓を通してみていると思えば、世界が丸く見えるかもしれない。
みんな世界を丸く見ろという、建築家のメッセージだろう。
心の中にも、円窓を設けると、広い世界だけでなく目の前の世間も丸くなるのかなと思う。