ヨイショとか、ドッコイショなどとつい口に出る。
慌てて周囲を見渡す。
いかにも高齢者ですと宣言しているようで、少し気恥しい。
’どっこいしょ’という言葉には、なんとなく普通の日本語とは違う響きがある。
語源を調べてみた。大きくは二つあった。
一つは、仏教「六根清浄」を語源とする説である。
「六根清浄」は山伏行者らによって、登山の際の掛け声として連呼される。
険しい山道を力を振り絞って登る際の掛け声だから、「どっこいしょ」の語源と考えられる理由になっている。
しかし、ロッコンショウジョウからドッコイショでは、かなり訛りがひどい。
もう一つの説は、相撲の掛け声‘ドッコイ’に由来する。
岩波新書『ことばの由来』によれば、江戸時代、村相撲を取る力士は、相手の気勢をそらし、相手のかかってくるのをからかって、「どこへ行くのか」「どんな手にでるのか」という気持ちでドコエ(何処へ)と掛け声を発した。
ドコエがドッコイになった、というものだ。
こちらの説の方が、自然な気がして受け入れやすい。
ところで、ドッコイショには脳を活性化させる効果があると科学的に証明されている。
ドッコイショと掛け声をかけることで、脳に刺激が加わり、タイミングを取りやすくなったり力を出しやすくなったりするらしい。
ドッコイショは、気合の一種だろう。