大吊橋が、各地にある。
そこからの絶景とともに、スリル感も併せて、人気の観光スポットとなっている。
観光客の歓心を呼ぶため、多くのつり橋は、歩行部分から下が透けて見えるような構造になっている。
なるべく揺れないようにそっと歩くのだが、わたっている人が全員で歩調を合わせているわけではないので、必ず揺れる。
中には、面白がってゆらす人物さえ現れ、揺れがますます大きくなる。
橋を渡る時はなるべく真ん中を歩きたいのだが、その部分は下が透けて見えるようになっていることが多い。
ますます怖いので、下を見ないようにして、ついでに周りの絶景も我慢して、空ばかり見て渡りきる。
高所恐怖症というのがある。
高い所に登ると、それが安全な場所であっても、下に落ちてしまうのではないかという不安がつきまとう、病的な心理である。
中には、1メートルくらいの脚立でも恐怖感を感じる人もいるらしい。
単に高い場所による危険感からくる恐怖は、通常の人間が身を守るための反応であり、異常なものではないようだ。
’吊り橋効果’というのが、心理学の法則にある。
吊り橋の上のような不安や恐怖を強く感じる場所で出会った人に対し、恋愛感情を抱きやすくなる現象のことだ。
つまり、揺れる橋を渡ることで生じた緊張感が、その異性への恋愛感情と誤認するものだ。
吊り橋にも、いろいろな効用があるようだ。