社会生活を送るうえで、時に何らかの説得を受けることがある。
納得できないケースも結構ある。
粘られているうちに、時間切れで不承不承、説得に応じた形にさせられる。
説得とは、何らかのコミュニケーション手段を通して,受け手の理性や感情に働きかけ,意見,態度,行動を変化させることである。
相手に、こちらの考えや分かって欲しいことを、納得してもらうための働きかけのことだ。
「説得」とは、字の意味からいうと‘得を説く’だから、誰かが‘得’することを‘説く’ことである。
問題は、誰の‘得’を説いているのかである。
‘私が得することを相手に説く’、を説得だと思っている人も多く見かける。
納得してもらうための説得なら、‘相手が得をすることを私が説く’のが本当だろう。
人間は、自分が賛成する意見しか見えない、いわゆる‘確証バイアス’という強い心理的傾向を持っている。
神経科学者のターリ・シャーロット氏は、80%の人が物事を楽観的にとらえる傾向があると指摘している。
いわゆる‘楽天主義バイアス’であり、状況を楽観的に判断してしまう認識のゆがみである。
自分について楽天主義になる傾向である。
このような機能が重なって、人は誰かに「説得」されることを無意識に拒む傾向を持っている。
‘説得’の本質とは‘わからせる’ことであり、‘納得’は‘わかる’ことである。
誰のための’得’なのか、考えておこう。