負け犬と言われぬように先に吠え

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犬は本来、オオカミと同じように、群れを形成して集団で生活する。

このため主従関係がはっきりしており、強いと認めた相手には逆らわない。

負け犬とは、喧嘩に負けて逃げる犬である。

人間関係においても、強い相手には牙を剥くことがなく、戦う前から負けを認めているとしてこのように表現する。

通常は、強い侮蔑を含んでいる。

「負け犬の遠吠え」とか、「弱い犬ほどよく吠える」と言うことわざもある。

強い犬が近くにいるときは吠える勇気はないが、姿が見えなくなったり、追って来られないほど遠くにいるときには、強気になり吠えたてる。

弱い立場の人間が、陰で負け惜しみを言うことを揶揄している。

これは満たされない欲求を正反対に打ち消すことであり、‘反動形成’といわれる。

ニーチェは、キリスト教の起源をユダヤ人のローマ人に対する‘ルサンチマン=弱者が強者に対して抱く「恨み」や「嫉妬心」’に求めた。

被支配階級であるユダヤ人は、支配階級であるローマ人の力強さや、能動的に生を楽しむこと、自己肯定的であることに対して恨みや妬みを抱き、強い者は「悪い」、強くない者は「善い」、という屈折した価値評価を作り出した。

弱者は天国に行き、地獄に落とされた強者が永遠の業火で焼かれるのを見下ろして楽しむのだ。

この世で成功する見込みのない負け犬たちが、強者への怨念から、神や来世という幻想をつくりだしたということだ。